SPP(Skin Perfusion Pressure) 皮膚組織灌流圧
- <SPP検査結果>
- SPP<30mmHg 重症虚血肢
SPP≦40mmHg 潰瘍治療の可能性が高い
- <SPPの適応>
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- 重症虚血肢(CLI)のアセスメント
- PTA、下肢バイパス術のモニターリング
- 難治性潰瘍の治癒予測
- 四肢切断レベルの判定
- 糖尿病性足病変などの石灰化症例の重症度評価
SPPはABI測定などでは評価が難しい浮腫や、糖尿病などによる血管の石灰化を伴う患者様でも比較的、容易に検査ができ、また最末梢の足部皮膚レベルの評価が可能です。
ABIと異なり、血行を調べたい部位で測定ができ、また、毛細血管の血流まで調べることができる。石灰化の影響も受けないため、糖尿病患者や透析患者にも監査が可能。
(2)下肢創傷を治療するための治療アルゴリズム
SPPを中心とした潰瘍の虚血評価を行いますが、潰瘍の近位部のSPP値を参考にして治療を進めます。SPP<40mmHgの場合、末梢血行再建術を施行し、SPP≧40mmHgの場合は末梢血行再建術を行わずに創傷治療を施行します1)。
(1)下肢のAngiosome(主幹動脈から末梢動脈への供給)について
踵部については、PTAとPAの両方から栄養されます。
足底部については、PTAより内側、外側の足底動脈に分岐し、足底動脈弓で再度連結します。最終的には足底趾動脈へと栄養しますが、足背動脈との穿通枝による連結も重要で、CLIにおいては、PTAの血流改善が救肢の鍵となります。
(2)基本的な測定方法、部位 <下肢血流のスクリーニングを目的とする場合>
左記のように、スクリーニングにおいては、足部の足背側と足底側を評価することを基本とし、より簡便に評価する場合は、足底側の1箇所で評価します。
下腿前面は前脛骨動脈(ATA)→足背動脈を経由して足背の多くを栄養し、下腿後面は後脛骨動脈(PTA)→内側および外側足底動脈を経由して末梢まで栄養していますが、解剖学的に足部の血流は、足底側の血流の影響が大きいと考えられるため、スクリーニングにおいては、足底側の評価を行います。
足背部、足底部の評価に加えて、第1趾を評価することで、より足趾末梢側の情報も得られます。
(3)基本的な測定方法、部位 <下肢創傷の治療を目的とする場合>
基本は創傷、壊死組織の中枢側近位部を優先します。これによって、創傷そのものが治癒機転の働く血流を有しているか否かが概ね判断できます。必要に応じて、その周辺も評価します。
(4)<具体例>
【注意事項】
- 骨や腱の上に突出した部位は避けて下さい。
- 測定部位に黒色や赤色のペンによるマーキングは避けて下さい。測定できない場合があります。
患者が仰臥位の状態で検査して下さい。
- ※透析患者さんなどで、座位でなければ測定できない時は、以下を参考値として下さい。 正常の場合、仰臥位においてSPP値 80~90mmHgが、座位(下肢下垂)においては120mmHg程度に上昇します。
検査を行う部位に応じて適切なサイズのカフを使用して下さい。
患者の体温は検査部位と同じぐらいの快適/正常な温度でなければなりません。そうでない場合は、医師の判断により患者を毛布で覆って下さい。
SPPの測定手順について
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測定部位を選択します。
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レーザセンサ先端部が測定部位にあたるよう設置します。
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レーザセンサを設置したら、テープなどでしっかり固定します。
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エアホースの向きを考慮して、カフをレーザセンサの上に巻きます。
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ゆるみのない程度に、カフをしっかりと固定します。
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カフとエアホースを接続し、測定を開始して下さい。
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【注意】
レーザセンサ先端部がブラダー(袋)の中央になるように配置して下さい。
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【推奨】
感染予防のため、レーザセンサ設置前に、ラップを用いて保護します。