真皮の構造
真皮(dermis)は,表皮の下部に存在する構造であり,表皮 と真皮とは基底膜によって隔てられている(図 1.3 参照).厚 さは表皮の約 15 ~ 40 倍である.解剖学的には以下に述べるよ うな 3 層構造をとる.
乳頭層(papillary layer):表皮突起間に食い込んでいる真皮部 分をさす.線維成分は疎であり,毛細血管,知覚神経末端,細 胞成分に富んでいる.
乳頭下層(subpapillary layer):乳頭層直下の部分であり,成分は乳頭層と同じ.
網状層(reticular layer):真皮の大部分を占め,線維成分が密な結合組織である.下方は皮下脂肪組織に接する.ところどころに血管、神経が走っている.
真皮を構成する成分としては,線維性組織を形成する間質成分と,その産生細胞などから構成される細胞成分に 2 分される (図 1.22).主成分である間質成分は大部分が膠原線維(I型と III型が主)から構成されており,そのほかに弾性線維,細網線
維,基質など,細胞外マトリックスとも称される要素がある.
細胞成分には,線維芽細胞や組織球(マクロファージ),肥満 (マスト)細胞,形質細胞,さらに脈管および神経が存在する.
Composit graft 複合組織移植
注意点:
•移植組織と母床の接触面積をできるだけ多くすること。
←軟骨が血管を貫けないため。
•血管密度の高い組織を使うことex耳介
•母床の血行が良好な部位で行うこと。
※一般的には移植組織片の辺縁から5mm以遠は生着しないと言われている。→直径1cm以内の組織なら安全に移植可能。
縫合糸
- 「自然素材・撚り糸・非吸収糸」
- 絹糸
- 「合成・編み糸(撚り糸)・非吸収糸」
- ニューロロン(ナイロン素材)
- エチボンド(ポリエステル素材)
- 「合成・編み糸(撚り糸)・吸収糸」
- バイクリル(ポリグラクチン910)
- デキソン(ポリグリコール酸)
- モノクリル
- 「合成・モノフィラメント・非吸収糸」
- 「合成・モノフィラメント・吸収糸」
- PDS(ポリディオキサノン)
- マクソン
◆創の中縫いをするときは抜糸できないので溶ける糸を使って、がっちりと縫い合わせたいからしっかり縛れる編み糸の吸収糸(バイクリル、ポリソーブ等)を使用。
◆皮膚縫いは抜糸をするのでコストが高い溶ける糸を使う必要なし。それに外界と接するため感染のリスクを避けるためにモノフィラメント糸を使用(=ナイロン糸、プローリン等)
◆腸管の内壁を縫うときは、抜糸できないから溶ける糸を使い、感染リスクを押えるためにモノフィラメントタイプを使用(=バイオシン、モノクリル等)
●モノフィラメント(単一糸)か、ブレイド(編み糸)か。
・編み糸の方がしなやかで、縫いやすく、強くしばれます。
・モノフィラメントは感染に強く、糸を通す時に組織を傷つけにくいです。
●吸収性+モノフィラメント
・PDS(polydioxanone)
最高の張力を持っています。5-6週間張力を保ちます。
モノフィラメントなので固いですが、感染にも強く、適応の幅が広いです。
・マクソン(Polytrimethylene carbonate)
PDSを扱いやすくした改良版です。
・モノクリル(poliglecaprone 25)
7日間張力を保ち、21日で完全に失います。顔の外傷などで形成外科でよく使われます。
●吸収性+ブレイド
・バイクリル(polyglactin)
3-4週間張力を保ち、60-90日で吸収されます。
編み糸なので扱いやすいです。軟部組織に良い適応です。
●非吸収性+モノフィラメント
・ナイロン
昔から使われている、張力の強い糸です。何回も結ばないと緩んでしまうのが難点。
・プロリン(ポリプロピレン)
ナイロンとほぼ同様です。組織が腫脹しても耐えてくれます。
●非吸収性+ブレイド
・絹糸(シルク)
これのみ天然由来です。扱いやすいですが、張力は非吸収性の中で最も弱いです。
吸収性縫合糸
非吸収性縫合糸
- 生体内で分解・吸収されずに残留する(長期間において劣化するものも含む)
- 長期間にわたり保持する必要のある組織に使用されることが多い。
- 主な使用部位・・・皮膚(表皮)・血管・神経組織・骨・靭帯など
素材による分類
天然素材 絹糸(シルク)・スチールなど
- 特に絹糸(シルク)は異種蛋白のため、抗原として認識される。
- 合成素材と比較すると、同じサイズでは強度は低い。
合成素材
- 抗張強度が高く、製品によるバラつきが少ない。
- 軽微な組織反応。