輸血の指標
[要約]赤血球濃厚液の適正使用
■ 目的
● 赤血球補充の第一義的な目的は、末梢循環系へ十分な酸素を供給することにある。
■ 使用指針
1) 慢性貧血に対する適応(主として内科的適応)
[血液疾患に伴う貧血]
● 高度の貧血の場合には,一般に1~2単位/日の輸血量とする。
● 慢性貧血の場合にはHb値7g/dLが輸血を行う一つの目安とされているが,貧血の進行度,罹患期間等により必要量が異なり,一律に決めることは困難である。
* Hb値を10g/dL以上にする必要はない。
* 鉄欠乏,ビタミンB12欠乏,葉酸欠乏,自己免疫性溶血性貧血など,輸血以外の方法で治療可能である疾患には,原則として輸血を行わない。
[慢性出血性貧血]
● 消化管や泌尿生殖器からの,少量長期的な出血による高度の貧血は原則として輸血は行わない。日常生活に支障を来す循環器系の臨床症状(労作時の動悸・息切れ,浮腫など)がある場合には,2単位の輸血を行い,臨床所見の改善の程度を観察する。全身状態が良好な場合は,ヘモグロビン(Hb)値6g/dL以下が一つの目安となる。
2) 急性出血に対する適応(主として外科的適応)
● Hb値が10g/dLを超える場合は輸血を必要とすることはないが,6g/dL以下では輸血はほぼ必須とされている。
* Hb値のみで輸血の開始を決定することは適切ではない。
3) 周術期の輸血
(1) 術前投与
● 患者の心肺機能,原疾患の種類(良性または悪性),患者の年齢や体重あるいは特殊な病態等の全身状態を把握して投与の必要性の有無を決定する。
* 慣習的に行われてきた術前投与のいわゆる10/30ルール(Hb値10g/dL,ヘマトクリット(Ht)値30%以上にすること)は近年では根拠のないものとされている。
(2) 術中投与
● 循環血液量の20~50%の出血量に対しては,人工膠質液(ヒドロキシエチルデンプン(HES),デキストランなど)を投与する。赤血球不足による組織への酸素供給不足が懸念される場合には,赤血球濃厚液を投与する。この程度までの出血では,等張アルブミン製剤(5%人血清アルブミン又は加熱人血漿たん白)の併用が必要となることは少ない。
循環血液量の50~100%の出血では,適宜等張アルブミン製剤を投与する。なお,人工膠質液を1,000mL以上必要とする場合にも等張アルブミン製剤の使用を考慮する。
● 循環血液量以上の大量出血(24時間以内に100%以上)時又は,100mL/分以上の急速輸血をするような事態には,新鮮凍結血漿や血小板濃厚液の投与も考慮する。
● 通常はHb値が7~8g/dL程度あれば十分な酸素の供給が可能であるが,冠動脈疾患などの心疾患あるいは肺機能障害や脳循環障害のある患者では,Hb値を10g/dL程度に維持することが推奨される。
(3) 術後投与
● 術後の1~2日間は細胞外液量と血清アルブミン濃度の減少が見られることがあるが,バイタルサインが安定している場合は,細胞外液補充液の投与以外に赤血球濃厚液,等張アルブミン製剤や新鮮凍結血漿などの投与が必要となる場合は少ない。
■ 投与量
● 赤血球濃厚液の投与によって改善されるHb値は,以下の計算式から求めることができる。
予測上昇Hb値(g/dL)= 投与Hb量(g)/循環血液量(dL)
循環血液量:70mL/kg{循環血液量(dL)= 体重(kg)×70mL/kg/100}
例えば,体重50kgの成人(循環血液量35dL)にHb値14~15g/dLの血液を2単位(400mL由来MAP加赤血球濃厚液1バッグ中の含有Hb量は14~15g/dL×4 dL =56~60g)輸血することにより,Hb値は約1.6~1.7g/dL上昇することになる。
■ 不適切な使用
● 凝固因子の補充を目的としない新鮮凍結血漿との併用
● 末期患者への投与
■ 使用上の注意点
1) 感染症の伝播
2) 鉄の過剰負荷
3) 輸血後移植片対宿主病(GVHD)の予防対策
4) 白血球除去フィルターの使用
5) 溶血性副作用
[要約]血小板濃厚液の適正使用
■ 目的
● 血小板輸血は、血小板成分を補充することにより止血を図り、又は出血を防止することを目的とする。
■ 使用指針
以下に示す血小板数はあくまでも目安であって,すべての症例に合致するものではない。
● 血小板数が2~5万/μLでは,止血困難な場合には血小板輸血が必要となる。
● 血小板数が1~2万/μLでは,時に重篤な出血をみることがあり,血小板輸血が必要となる場合がある。血小板数が1万/μL未満ではしばしば重篤な出血をみることがあるため,血小板輸血を必要とする。
* 一般に,血小板数が5万/μL以上では,血小板輸血が必要となることはない。
* 慢性に経過している血小板減少症(再生不良貧血など)で,他に出血傾向を来す合併症がなく,血小板数が安定している場合には,血小板数が5千~1万/μLであっても,血小板輸血は極力避けるべきである。
1) 活動性出血
● 血小板減少による重篤な活動性出血を認める場合(特に網膜,中枢神経系,肺,消化管などの出血)には,血小板数を5万/μL以上に維持するように血小板輸血を行う。
2) 外科手術の術前状態
● 血小板数が5万/μL未満では,手術の内容により,血小板濃厚液の準備又は,術直前の血小板輸血の可否を判断する。
* 待機的手術患者あるいは腰椎穿刺,硬膜外麻酔,経気管支生検,肝生検などの侵襲を伴う処置では,術前あるいは施行前の血小板数が5万/μL以上あれば,通常は血小板輸血を必要とすることはない。
3) 人工心肺使用手術時の周術期管理
● 術中・術後を通して血小板数が3万/μL未満に低下している場合には,血小板輸血の適応である。ただし,人工心肺離脱後の硫酸プロタミン投与後に血算及び凝固能を適宜検査,判断しながら,必要に応じて5万/μL程度を目処に血小板輸血開始を考慮する。
● 複雑な心大血管手術で長時間(3時間以上)の人工心肺使用例,再手術などで広範な癒着剥離を要する例,及び慢性の腎臓や肝臓の疾患で出血傾向をみる例の中には,血小板減少あるいは止血困難な出血(oozingなど)をみることがあり,凝固因子の欠乏を伴わず,このような病態を呈する場合には,血小板数が5万/μL~10万/μLになるように血小板輸血を行う。
4) 大量輸血時
● 急速失血により24時間以内に循環血液量相当量ないし2倍量以上の大量輸血が行われ,止血困難な出血症状とともに血小板減少を認める場合には,血小板輸血の適応となる。
5) 播種性血管内凝固(DIC)
● 出血傾向の強く現れる可能性のあるDIC(基礎疾患が白血病,癌,産科的疾患,重症感染症など)で,血小板数が急速に5万/μL未満へと低下し,出血症状を認める場合には,血小板輸血の適応となる。
* 慢性DICについては,血小板輸血の適応はない。
6) 血液疾患
(1) 造血器腫瘍
● 急性白血病・悪性リンパ腫などの寛解導入療法においては,血小板数が1~2万/μL未満に低下してきた場合には血小板数を1~2万/μL以上に維持するように,計画的に血小板輸血を行う。
(2) 再生不良性貧血・骨髄異形成症候群
● 血小板数が5千/μL前後ないしそれ以下に低下する場合には,血小板輸血の適応となる。
● 計画的に血小板数を1万/μL以上に保つように努める。
* 血小板減少は慢性に経過することが多く,血小板数が5千/μL以上あって出血症状が皮下出血斑程度の軽微な場合には,血小板輸血の適応とはならない。
(3) 免疫性血小板減少症
● 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)で外科的処置を行う場合には,まずステロイド剤等の事前投与を行い,これらの効果が不十分で大量出血の予測される場合には,適応となる場合がある。
* 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,通常は血小板輸血の対象とはならない。
● ITPの母親から生まれた新生児で重篤な血小板減少症をみる場合には,交換輸血のほかに副腎皮質ステロイドあるいは免疫グロブリン製剤の投与とともに血小板輸血を必要とすることがある。
● 血小板特異抗原の母児間不適合による新生児同種免疫性血小板減少症(NAIT)で,重篤な血小板減少をみる場合には,血小板特異抗原同型の血小板輸血を行う。
* 輸血後紫斑病(PTP)では,血小板輸血の適応はない。
(4) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)及び溶血性尿毒症症候群(HUS)
* 原則として血小板輸血の適応とはならない。
(5) 血小板機能異常症
● 重篤な出血ないし止血困難な場合にのみ血小板輸血の適応となる。
(6) その他:ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin induced thrombocytopenia;HIT)
● 血小板輸血は禁忌である。
7) 固形腫瘍
● 固形腫瘍に対して強力な化学療法を行う場合には,必要に応じて血小板数を測定する。
● 血小板数が2万/μL未満に減少し,出血傾向を認める場合には,血小板数が1~2万/μL以上を維持するように血小板輸血を行う。
8) 造血幹細胞移植(骨髄移植等)
● 造血幹細胞移植後に骨髄機能が回復するまでの期間は,血小板数が1~2万/μL以上を維持するように計画的に血小板輸血を行う。
● 通常,出血予防のためには血小板数が1~2万/μL未満の場合が血小板輸血の適応となる。
■ 投与量
血小板輸血直後の予測血小板増加数(/μL) = 輸血血小板総数
循環血液量(mL)×103 × 2
3
(循環血液量は70 mL/kgとする)
例えば,血小板濃厚液5単位(1.0×1011個以上の血小板を含有)を循環血液量5,000mL(体重65kg)の患者に輸血すると,直後には輸血前の血小板数より13,500/μL以上増加することが見込まれる。
なお,一回投与量は,原則として上記計算式によるが,実務的には通常10単位が使用されている。体重25kg以下の小児では10単位を3~4時間かけて輸血する。
■ 不適切な使用
1) 末期患者への血小板輸血の考え方
単なる時間的延命のための投与は控えるべきである。
[要約]新鮮凍結血漿の適正使用
■ 目的
● 凝固因子の補充による治療的投与を主目的とする。観血的処置時を除いて新鮮凍結血漿の予防的投与の意味はない。
■ 使用指針
新鮮凍結血漿の投与は,他に安全で効果的な血漿分画製剤あるいは代替医薬品(リコンビナント製剤など)がない場合にのみ,適応となる。投与に当たっては,投与前にプロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定し,大量出血ではフィブリノゲン値も測定する。
1) 凝固因子の補充
(1) PTおよび/またはAPTTが延長している場合((1)PTは(ⅰ)INR 2.0以上,(ⅱ)30%以下/(2)APTTは(ⅰ)各医療機関における基準の上限の2倍以上,(ⅱ)25%以下とする)
● 肝障害:肝障害により複数の凝固因子活性が低下し,出血傾向のある場合に適応となる。
* PTがINR 2.0以上(30%以下)で,かつ観血的処置を行う場合を除いて新鮮凍結血漿の予防的投与の適応はない。
● L-アスパラギナーゼ投与関連:肝臓での産生低下による凝固因子の減少に加え,抗凝固因子や線溶因子の産生低下がみられる場合,これらの諸因子を同時に補給するためには新鮮凍結血漿を用いる。
● 播種性血管内凝固(DIC):通常,(1)に示すPT,APTTの延長のほかフィブリノゲン値が100mg/dL未満の場合に新鮮凍結血漿の適応となる(参考資料1 DIC診断基準参照)。
● 大量輸血時: 希釈性凝固障害による止血困難が起こる場合に新鮮凍結血漿の適応となる。
外傷などの救急患者では,消費性凝固障害が併存しているかを検討し,凝固因子欠乏による出血傾向があると判断された場合に限り,新鮮凍結血漿の適応がある。
● 濃縮製剤のない凝固因子欠乏症:血液凝固第V,第XI因子のいずれかの欠乏症またはこれらを含む複数の欠乏症では,出血症状を示しているか,観血的処置を行う際に新鮮凍結血漿が適応となる。
● クマリン系薬剤(ワルファリンなど)の効果の緊急補正(PTがINR 2.0以上(30%以下)):ビタミンKの補給により通常1時間以内に改善が認められる。より緊急な対応のために新鮮凍結血漿の投与が必要になることが稀にあるが、この場合でも直ちに使用可能な場合には「濃縮プロトロンビン複合体製剤」を使用することも考えられる。
(2) 低フィブリノゲン血症(100mg/dL未満)の場合
● 播種性血管内凝固(DIC)
● L-アスパラギナーゼ投与後
2) 凝固阻害因子や線溶因子の補充
● プロテインCやプロテインSの欠乏症における血栓症の発症時には必要に応じて新鮮凍結血漿により欠乏因子を補充する。プラスミンインヒビターの欠乏による出血症状に対しては抗線溶薬を併用し,効果が不十分な場合には新鮮凍結血漿を投与する。
3) 血漿因子の補充(PT及びAPTTが正常な場合)
● 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP):後天性TTPに対しては新鮮凍結血漿を置換液とした血漿交換療法を行う。先天性TTPでは,新鮮凍結血漿の単独投与で充分な効果がある。
* 後天性溶血性尿毒症症候群(HUS)では,新鮮凍結血漿を用いた血漿交換療法は必ずしも有効ではない。
■ 投与量
● 生理的な止血効果を期待するための凝固因子の最少の血中活性値は,正常値の20~30%程度である。
循環血漿量を40mL/kg(70mL/kg(1-Ht/100))とし,補充された凝固因子の血中回収率は目的とする凝固因子により異なるが,100%とすれば,凝固因子の血中レベルを約20~30%上昇させるのに必要な新鮮凍結血漿量は,理論的には8~12mL/kg(40mL/kgの20~30%)である。
■ 不適切な使用
1) 循環血漿量減少の改善と補充
2) 蛋白質源としての栄養補給
3) 創傷治癒の促進
4) 末期患者への投与
5) その他
重症感染症の治療,DICを伴わない熱傷の治療,人工心肺使用時の出血予防,非代償性肝硬変での出血予防なども新鮮凍結血漿投与の適応とはならない。
■ 使用上の注意点
1) 融解法
2) 感染症の伝播
3) クエン酸中毒(低カルシウム血症)
4) ナトリウムの負荷
5) アレルギー反応
6) 輸血セットの使用
[要約]アルブミン製剤の適正使用
■ 目的
● 急性の低蛋白血症に基づく病態,また他の治療法では管理が困難な慢性低蛋白血症による病態に対して,アルブミンを補充することにより一時的な病態の改善を図るために使用する。
■ 使用指針
1) 出血性ショック等
● 循環血液量の30%以上の出血をみる場合は,細胞外液補充液の投与が第一選択となり,人工膠質液の併用も推奨されるが、原則としてアルブミン製剤の投与は必要としない。
● 循環血液量の50%以上の多量の出血が疑われる場合や血清アルブミン濃度が3.0g/dL未満の場合には,等張アルブミン製剤の併用を考慮する。
● 腎機能障害などで人工膠質液の使用が不適切と考えられる場合には,等張アルブミン製剤を使用する。また,人工膠質液を1,000mL以上必要とする場合にも,等張アルブミン製剤の使用を考慮する。
2) 人工心肺を使用する心臓手術
通常,心臓手術時の人工心肺の充填には,主として細胞外液補充液が使用される。人工心肺実施中の血液希釈で起こった一時的な低アルブミン血症は,アルブミン製剤を投与して補正する必要はない。ただし,術前より血清アルブミン濃度または膠質浸透圧の高度な低下のある場合,あるいは体重10kg未満の小児の場合などには等張アルブミン製剤が用いられることがある。
3) 肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療
● 大量(4L以上)の腹水穿刺時に循環血漿量を維持するため,高張アルブミン製剤の投与が考慮される。また,治療抵抗性の腹水の治療に,短期的(1週間を限度とする)に高張アルブミン製剤を併用することがある。
* 肝硬変などの慢性の病態による低アルブミン血症は,それ自体ではアルブミン製剤の適応とはならない。
4) 難治性の浮腫,肺水腫を伴うネフローゼ症候群
* ネフローゼ症候群などの慢性の病態は,通常アルブミン製剤の適応とはならないが,急性かつ重症の末梢性浮腫あるいは肺水腫に対しては,利尿薬に加えて短期的(1週間を限度とする)に高張アルブミン製剤の投与を必要とする場合がある。
5) 循環動態が不安定な血液透析等の体外循環施行時
● 血圧の安定が悪い場合に血液透析時において,特に糖尿病を合併している場合や術後などで低アルブミン血症のある場合には,循環血漿量を増加させる目的で予防的投与を行うことがある。
6) 凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換法
* ギランバレー症候群,急性重症筋無力症など凝固因子の補充を必要としない症例では,等張アルブミン製剤を使用する。
* 加熱人血漿たん白は,まれに血圧低下をきたすので,原則として使用しない。
7) 重症熱傷
● 熱傷部位が体表面積の50%以上あり,細胞外液補充液では循環血漿量の不足を是正することが困難な場合には,人工膠質液あるいは等張アルブミン製剤で対処する。
* 熱傷後,通常18時間以内は原則として細胞外液補充液で対応するが,18時間以内であっても,血清アルブミン濃度が1.5g/dL未満の時は適応を考慮する。
8) 低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合
● 術前,術後あるいは経口摂取不能な重症の下痢などによる低蛋白血症が存在し,治療抵抗性の肺水腫あるいは著明な浮腫が認められる場合には,高張アルブミン製剤の投与を考慮する。
9) 循環血漿量の著明な減少を伴う急性膵炎など
● 急性膵炎,腸閉塞などで循環血漿量の著明な減少を伴うショックを起こした場合には,等張アルブミン製剤を使用する。
■ 投与量
● 投与量の算定には下記の計算式を用いる。このようにして得られたアルブミン量を患者の病状に応じて,通常2~3日で分割投与する。
必要投与量(g) = 期待上昇濃度(g/dL)× 循環血漿量(dL)×2.5
ただし,期待上昇濃度は期待値と実測値の差,循環血漿量は0.4dL/kg,投与アルブミンの血管内回収率は4/10(40%)とする。
■ 不適切な使用
1) 蛋白質源としての栄養補給
2) 脳虚血
3) 単なる血清アルブミン濃度の維持
4) 末期患者への投与
■ 使用上の注意点
1) ナトリウム含有量
2) 肺水腫,心不全
3) 血圧低下
4) 利尿
5) アルブミン合成能の低下
※
また体液の水分分布は細胞内液が体重の約40%,細胞外液が約20%
(間質には約15%,血漿には約5%)。
すなわち,体重50kgの人では循環血液量は3.8L,血漿は2.5Lとなり
ます。(血管内の量は2.5L)
約1.3Lの差があります。この差はいったいどうなっているのでしょうか?
実は血液は血球成分と血漿成分に分かれます。もしヘマトクリット値が
35%とすると,血球成分は3.8L×0.35=1.3Lとなります。
水分量は3.8-1.3=2.5Lとなり血漿成分と等しくなります。
つまり循環血液量は3.8Lですが,血管内水分量は2.5Lとなります。